第9回国際協力塾セミナー
当日の様子
ジーエルエム・インスティチュート(GLMi)は、2013年9月29日(日)にJICA地球ひろばにて、第9回国際協力塾セミナー『徹底議論:ビジネスは農村の開発課題に貢献できるのか!?』を実施しました。
第9回国際協力塾合宿の概要
今回は徹底議論と題し、国際協力塾初の1日セミナーを行いました。セミナーは2部構成になっており、第1部、第2部共に前半は講義、後半はディスカッションという形式で議論を深めました。
当日のプログラム
「途上国で何が起こっているのか?~必要なのは援助?それともビジネス?」
グループディスカッション
グループ発表
「農機レンタルから生まれるソーシャルインパクト~ARMLEDプロジェクト」
グループディスカッション
グループ発表・まとめ
途上国で何が起こっているのか?~必要なのは援助?それともビジネス?
最初にGLMi相馬真紀子プロジェクト・マネージャー(PM)から、農村における援助とビジネスの展開について、概念整理を行いました。インクルーシブ・ビジネスやソーシャル・ビジネスといった言葉は定義づけが非常に難しいのですが、「社会的課題の解決と自社利益の確保の両立を目指すこと」が特徴です。ODAやNGOの取り組みとも比較しながら、ビジネスでは貧困層をどう巻き込んでいるのか、マイクロファイナンスやグラミン雪国まいたけの事例を紹介しました。
グループディスカッション 1
講義を踏まえたグループディスカッションでは、相馬PMから2つのテーマが設定されました。
森林管理やマイクロファイナンスといった農村開発の課題解決のための取り組みは、ヌエバ・ビスカヤ州のincome pyramidのどの層を対象にしているのか?
農村部に住む貧困層の抱える農村開発の課題は、「ビジネス」という手法で解決できるか?異なる貧困層別にその理由と具体例を考えてください。
貧困層と一口に言っても、収入や住んでいる場所などその実態は様々です。どんな人々がその取組を行うのか、どの貧困層なら小さなビジネスとして収益をあげられるスキルや資本を持っているのか。実際にヌエバ・ビスカヤで暮らす人々をイメージしながら、ディスカッションは進みました。
お昼ご飯をはさみながらディスカッションをした後、グループ別に発表しました。発表では、貧困層の上位層ならビジネスに関わることができるかもしれないが、最貧困層にとっては難しいのではないか、という意見が多く上がりました。その後、相馬理事からGLMiの森林管理は下位貧困層、マイクロファイナンスは下位中間層~上位貧困層が対象であるという説明がありました。
農機レンタルから生まれるソーシャルインパクト~ARMLEDプロジェクト
第2部では、林友花里前フィールド・マネージャー(FM)よりGLMiが現在フィリピンで行っているARMLEDプロジェクト(農機具のマイクロレンタル事業)がどのように現地の課題を解決しようとしているのかを紹介しました。農村人口が減少しつつあるフィリピンにおいて、農業の機械化は食料自給率を高めるために重要です。しかし小規模稲作農家にとって農機導入には様々なハードルがあり、ARMLEDではこれを農機具レンタルサービスや各種研修の実施などで克服しようとしています。講義後、サービス提供における難しさや、ビジネスとしての収益確保の計画についてなど、多くの質問が寄せられ、参加者の関心と期待の高さを感じることができました。
グループディスカッション 2
講義を踏まえ、ディスカッションでは「(フィリピンの)農業機械化推進と日本(企業、ブランド)のプレゼンスを両輪で進めていくために必要なこと」についてグループ別に議論しました。
各グループから、「アフターケア」「エコ技術を農機に取り入れる」など、日本の強みを活かしたユニークなアイディアが発表されました。いかに現地のニーズに合った商品を届けるかというところで、日本のプレゼンスを発揮していくことが必要であるという点が、多くの発表に共通して言えることだったと思います。
まる1日がかりのセミナーとなりましたが、「徹底議論」と題した通り、まさに農村開発におけるビジネスの役割について、内容の濃い議論ができたのではないかと思っております。また今回は学生から社会人まで、多様なバックグランドを持つ方にお越しいただき、活発な議論と共に情報共有の場としても充実した会となりました。ご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました。
参加者の感想(K.Aさん/社会人)
途上国への支援をビジネスライクに行う発想は、日本で日々行われているビジネスと違う点を多く発見できましたが、同時に、考え方としては同じ点もあると感じました。まだまだ可能性もあり、議論の余地はあると感じました。ありがとうございました。