第10回国際協力塾セミナー

当日の様子

ジーエルエム・インスティチュート(GLMi)は、2014年2月2日(日)にJICA地球ひろばにて、外務省より青山健郎氏(国際法局国際法課法律顧問官)を迎え、第10回国際協力塾セミナー『平和を創るちから~なぜ遠い国の平和構築を手伝うのか』を開催しました。

第10回国際協力塾合宿の概要

10回目の節目の回となった今回の国際協力塾セミナーは、2009年の第1回で基調講演いただいた、外務省の青山健郎氏を再度お迎えし、「平和構築について基礎から学び、考える」セミナーを実施致しました。スケジュールは下記の通りです。

当日のプログラム

  1. 青山氏の講義

  2. グループ・ダイアログ

  3. グループ発表・質疑応答・青山氏のコメント

青山氏の講義

まずは青山氏から、イラク戦争後の2007年~2008年に在イラク大使館にて勤務されたご経験を交えながら、武力紛争下で生きることや、平和構築・平和協力の重要性、さらに市民の役割についてご説明いただきました。

武力紛争下の生活は、わたしたちが普段当たり前と思っていることが当たり前にならないことばかりです。街中で銃撃戦やテロが発生したり、道路や病院が使えなかったり、人々の間に不安や憎しみが広がったり・・・。青山氏も在イラク大使館勤務時代は、大使館から一歩も出ることのできない日が続いたと振り返りました。

平和構築は、こうした武力紛争を終わらせ、二度と戦争の起こらない平和な社会を創ることですが、危険を伴う環境での国の再建は、非常に困難で時間のかかる仕事となります。そこで、国際社会の安全と繁栄のため、また人間の安全保障の実現のため、世界の国々が協力して遠い国の平和構築を手伝うことが大切になります。

第2次世界大戦後に廃墟から立ち上がった日本の歩みは、平和構築の模範と言えます。青山氏はイラクで「わたしたちイラク人は日本の戦後復興に学びたい」という言葉を度々聞き、こうした期待と信頼に応えることが、日本らしい平和協力ではないかと話しました。

こうした日本らしい平和協力を進めるためには、わたしたち一人一人の市民の力も重要です。例えば紛争地で活動するNGOに寄付する、自らが平和構築の担い手となる、あるいは軍民協力のように様々なセクターの一員として平和協力に携わるなど、市民社会は多様な形で日本の平和協力を支えることができると、青山氏は期待を込めました。

グループ・ダイアログの様子

青山氏の講演後、4つのグループに分かれて参加者同士でさらに考えを深めていきました。講義内容を基に平和構築についてさらに理解を深めたグループや、講義内容を発展させて「市民と平和構築」、「自分が平和構築にどう関わるか?」といったテーマで議論したグループなど、参加者の関心に合わせた議論が展開されました。

グループ発表と質疑応答・青山氏のコメント

各グループの発表では、「自分たちは戦争を経験した人の話を聞ける最後の世代である。平和構築について考えるには、まず日本の歴史を知ることから始めたい」、「国際協力への関心が高い人と全く興味ない人の中間にあたる層を巻き込むにはどうすればいいか?」、「平和協力を行う日本が本当に平和を理解するためには、異文化理解や人に伝えるちからを高める必要がある」、「寄付だけではない形で市民が平和構築に関わる方法も必要」といった意見が発表されました。

グループ発表を受けて青山氏は、外務省では『ODA見える化』を進め、市民がODAや国際協力について知る機会を設けていることを紹介しながら、日本が国としてどのような国際貢献を行っているのか、ぜひ関心を高めてほしいとコメントしました。

第10回目であり、2014年最初の国際協力塾セミナーとなった今回は、昨年のセミナーで取り上げたソーシャルビジネスとは違ったテーマ「平和構築」について考えました。青山氏の講義は論理的・包括的でありながら端々に具体的なエピソードが盛り込まれ、私を含め平和構築の初心者にとって非常にわかりやすく、勉強になりました。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。